鶴岡法斎の「恥ずかしいココロ」 第8回
2016-12-26
コラムニスト:鶴岡法斎
 11月某日、巨根の覚醒の最終撮影を終えたビーバップみのるとスタッフを乗せた車が日没をやや過ぎた頃、千葉方面から東京に戻るため高速道路を走っていた。車中からイルミネーションに彩られた東京ディズニーランドを見て、
「綺麗だね」
「今度行ってみたい」などと男ばかりの車中、もう全員疲れ切っているはずなのにその時ばかりは賑やかだった。
 そもそも巨根の覚醒とはAV男優として活動しつつ会社を経営して、ツイッターでAV業界の現状を嘆きつつ、自分自身の待遇への不満を漏らす、自称イケメンマッチョ巨根男優、通称「巨根さん」をビーバップみのるが撮る、というドキュメントだった。しかしその最後の撮影を終えた車中に巨根さんはいなかった。
 誤解してる人もいるので念のため、巨根の覚醒はビーバップみのるの自主制作作品であってドグマもハマジムも現時点では無関係。結構な金額の予算、新車で軽自動車のいいのが買えるくらいの金額、全部みのるが出してます。撮影当初から「素晴らしい」と「しようもない」の紙一重のことが次々と起き、事態は二転三転。いろいろ、本当にいろいろあって前代未聞かもしれない定価一万円のDVDとして発売することに(発売日未定)。

https://bebopminoru.thebase.in/

 自分はスタッフ、そして一部出演者としてかかわったので説明しにくい部分もありますが、一万円って価格は挑戦的ではあるけど、無意味なぼったくりでないことは約束します。これ以上書くとまた野暮になってしまうので。

「最後の撮影」は壮絶だった。そこにいたものはみな意味のわからない感動をしていた。有象無象、なんとなく面白そうだからで始まって、かかわったものたちがひとつに集結した。ただそれの発端になった人はそこにいなかった……。

 巨根の覚醒はビーバップみのるの冒険譚だ。行きあたりばったり、思いつきで四方八方に話を広げて、多くの人を巻き込んでいく。最初は実態のない話だったのだろうけど、我々はあのディズニーランドを見られた。車の窓からちらりと見ただけなんだけど。一過性の、一時的なものであるかもしれないがカタルシスはあったし、それは作品として見た人にも確実に届くはず。
 2017年、この作品が世界に、巨根から飛び出す精子のように放出されるのはとても喜ばしい。期待だけする。

 1月7日の深夜にロフトプラスワンでこの作品の完成直前イベントをやります。

http://www.loft-prj.co.jp/schedule/plusone/55452

 こちらは自分が企画構成なので不安だけしかない。みなさん来てください。
鶴岡法斎プロフィール

マンガ原作者、作家。

最初はエロ本のライターをやっていたのですがいろいろあって、ありすぎて現在に至ってます。

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