あれからずっと熱っぽい vol.6
2016-09-06
コラムニスト:平野大地
「みんなAVっていう業界についてちゃんと考えなきゃいけない」
 
今田さんはスッカスッカの声でこんなことを言っていました。
前日に騒ぎすぎて声を潰したそうです。
 
僕は前職でDVDやブルーレイといったホームエンターテイメントと呼ばれる商品の宣伝をしていました。
 
公開映画のパッケージ商品が主で、映画を見ない人への受け皿がないので業界として一生懸命保護されていますが、正直、おそらく赤字かその寸前だったように感じています。
 
そもそも物が売れない時代。
DVDやブルーレイ、特にAVというジャンルはその逆風を真正面から受けているように思います。
 
業界の誰もが「このままじゃ危ない。やばい」と感じています。
特にHMJMをはじめとする小さな制作会社の人は。
 
今田さんがHMJMを辞めるというツイートを見たとき、会社のパソコンの前で「えっ」と大きな声をあげてしまいました。
仕事中にツイッターを見ていたことがバレた瞬間です。

僕がぼーっと働いたりしている間に世の中は知らないところで動いていて、そういえば地球の自転って新幹線の6倍のスピードで動いているというのを思い出しました。
時間の流れって実はめちゃくちゃ早いんですね。

内情は僕もよく知りませんが、きっと今田さんとか岩淵さんとか松尾さんが言っていることが全てで、僕たちに隠しているようなことはないと思います。

びっくりはしましたが、正直悲しみはないです。
二人とも映像は続けていくと明言しているし、きっと好きすぎてやめられないと思います。

今田さんは、AV監督としてのキャリアを終えます。
大きな決断だと思います。
でも食っていく食っていけないっていうこと以上に、思うところがあったんだと勝手に想像しています。

多分これから先DVDがバカみたいに売れるってことはないです。
一部の層が買い続けていくだけ。

僕はネットに無料で動画が上がっているいまの状態を、悪いことだとは思いません。
ネット世代の言い訳に聞こえるかもしれないけど。

そのおかげでAVに触れることができて、イベントに行ったり、DVDを買ったりする人たちが少なからずいます。
僕も最初はその一人でした。

だからこそ一概にネットで動画が上がっていることを悪いことだとは言えません。

僕のまわりでAVのパッケージを買っている人なんていません。
でもAVを見なくなったわけじゃありません。
むしろめちゃくちゃ見ています。

女優にやたら詳しい人もいるし、企画ものに魅了された人もいる。
女性だってAVを楽しんでいます。

AVを見るというハードルを取っ払ったのは紛れもなくインターネット。
業界の不振の理由もインターネット。

皮肉ですね。

いつかアキヒトさんがこんなことを言っていました。

「多分HMJMが終わるときはすぱっと終わるんだろうな、たぶん松尾さんがはい終わり!って言って後腐れなく」

そのときは僕もそう思いました。
でも今は違います。

僕はHMJMが好きです。
たぶんこれを読んでくれている方もそうですよね。

それはただ面白い作品を追求し、お金に執着しないHMJMという会社に惚れているからです。

だから、もし万が一そうなったらきっと、誰かが助けてくれる、とか無責任なことを思っちゃいます。
すぱっと終わらせるなんて、周りが許してくれないですよ笑

もっとHMJMはもっと稼げる方法を考えなきゃいけない。
そんな風に途中まで偉そうに思ってました。
お金を取ることは絶対に悪いことじゃないです。
でも、やっぱ売ろうとするとクソつまんねえもんになるんですよ。

俺は夢が見たいんすよ。
面白いものが見たいっす。
めちゃ楽しそうにそれを作り続けるおっさんたちを見ていたいっす。

だから、僕が思うのは、HMJMはいまのままがいいっす。


最後に

今田さん
いっぱい作品作ってくれてありがとうございました。

ゆったりとした話し方が浮世離れしていて好きです。
目上の人へのタメ口の使い方が巧いのも好きです。
周りを気にしていないように見えて、実はめっちゃ見ているところも好きです。

日芸での上映で一緒に喋ったとき、主催側はお酒飲んじゃいけないんですけど、飲んでましたね。
僕もそれにつられて飲んじゃいました。(時効)

またあんな感じの楽しいこと、したいですね。
またあんな感じの楽しいこと、しましょう。

岩淵さん
初めてお会いしたとき、僕は無職で、自信を完全に失っていました。
岩淵さんからの質問になんだか要領の得ない返答していたような気がします。

そのときにいただいた遭難フリーターの書籍版。
状況は違えど、世の中への不満と未熟で勝手で子供な自分に苛立つ姿に、読みながら「これは、俺だ」と思わざるを得ませんでした。

でもそこから先が僕とは違います。
ヤル人生を選び続け、作品を作り、他人から批判される自分を受け入れています。
僕は正直そこまでいけるかわかりません。

だから尊敬しています。
僕もいつか自分の文章を人に堂々と読ませて、「これが俺だ」と叫んで回りたいです。


お二人とも、ありがとうございました。
これからも僕とお話してください。
平野大地プロフィール

1992年12月5日生まれ。
現在無職。
「テレクラキャノンボール上映会@日芸」の主催者。

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