あれからずっと熱っぽい vol.4
2016-05-10
コラムニスト:平野大地
今回は、ちょっと自分語りを。

僕には高校3年間を通してずっと好きな人がいました。
初めてその人と会ったのは、高校入学式当日。
彼女は僕の席の斜め前に座っていて、隣の席の女の子と楽しそうに話していました。

ぼんやり眺めていただけなのに、彼女の横顔が妙に焼き付いて、気づけば見とれていました。
その瞬間のときめきはきっとこれから先、経験することはないと思います。

僕は思い切って彼女をデートに誘い、話を聞けば彼女も一目会った時から惹かれ合っていたらしく自然な流れで付き合いはじめ、そしてつい先日付き合って7年の記念日を迎え、そしてお互いの両親への挨拶を済ませ、僕たちは結婚することになりました幸せ〜……。

嘘です、すいません。僕の人生にそんなことは起こりません。
よく「どうやって付き合ったの?」とモテ男に聞くと「自然な流れで」っていっているのがかっこよくて、僕も一度言ってみたかっただけです。
つか自然な流れってなんだよ。
男女が自然に付き合うっていうことなんざあるわけねえだろ!
不自然な偶然積み重ねてっから付き合うんだろ!

いや、意味わかんないですね、取り乱してすみません。

とにかく僕は結局ウジウジして、デートなんてもってのほか、話しかけることもできず、ただひたすら彼女を見ているばかり。
それどころか(これを言うとけっこう驚かれるんですけど)僕はその子で一度もオナニーすらできませんでした。

入学式に運命の出会いを果たし平野青年。
「好きなコがおらにもできた!」とTheピーズの名曲を口ずさみながらハイテンションのまま喜び勇んでベッドに滑り込みパンツを下ろしたまではよかった。
そこで僕に不思議なことが起こります。

どうしたことか、ムスコが1mmも大きくなっていない。

理由ははっきりしているんです。
それは僕が彼女のことを好きだから。

別に「オナニーするとか、ヤりたいという気持ちを抱くなんて不純だ!」とかそういうのではなく、どうしても僕は好きな人ではヌケないんです。

代わりに僕はわかりやすくエロいギャルっぽい女の子を頭のなかで脱がせて、クラスのイケメン男子に抱かせていました。(抱くのが自分じゃないのは僕の性癖です)

「好き」っていうのと、「ヤリたい」っていう感情は必ずしも一致することはないんだなあ、なんてぼんやり思いながらせっせと自分を慰めていたのを覚えています。

エロいけど好きじゃない人。
エロくないけど好きな人。
僕にはこの2種類の女性しかいません。


最近HMJMのイベントにいくと、むっさいむっさい男たちのスタッフに混じって、天使みたいな娘が働いていたりします。

さい子ちゃんです。

何度かお話したことがあって、とにかくめっちゃいい子なんですよ。
身体もそうですけど性格が。

気兼ねなく話してくれて、僕のつまんないギャグにも笑ってくれて、しかもその笑顔がめっちゃかわいい。

他のファンの方にも同じように、笑顔で楽しそうに話しているさい子ちゃん。
そりゃファンになっちゃいますよね。

僕は直接会うまで彼女のAVをほとんど見ていませんでした。
ハマジム好きとしては致命的かもしれないんですけど、僕はほとんど素人モノのAVって見ないんです。
特に可愛い娘が出てるやつは。

さい子ちゃんと話した日、僕は家に帰ってから「イベントで知り合った自撮り娘さい子ちゃん、でびゅー」はじめ、作品すべてを見ました。
予想通り、すごくエロい。
おっぱい大きいし、お尻プリッとしてるし、表情も最高。

でも、さい子ちゃん、ごめん。
おれ、さい子ちゃんじゃヌケなかった。

すごく可愛いし、エロい。
もう十分すぎるくらいエロい。
でもヌケない。

「あれ、なんかこんなの前にあったな」
僕は斜め前の席の彼女の横顔を思い出します。

付き合いたいとか、チューしたいとか、ヤりたいとか、そういう「好き」じゃなくて、僕は単にさい子ちゃんがすごく「好き」になっちゃってたんです。

もちろんヤりたい思う人がいて当然です。
それが悪いとか、「他のファンより俺の方がさい子ちゃんのこと大切に思ってるぜ」みたいなことが言いたいわけじゃなくて、僕にとってさい子ちゃんは、なんというか、会って話したい人。

「ヌケない」なんて言われたら、AV女優からしたら、これ以上にない傷つく言葉ですよね。

でも、たぶんあとちょっとで僕はさい子ちゃんでヌクことができるかもしれません。


高校生の僕はなんとか斜め前のその綺麗な横顔を手に入れようと、一年生の終わりと卒業式直前の時期の二度、彼女に告白しました。
もちろん2回とも惨敗しました。

それから間もなく大学生になり半年ほど経って、彼女が僕のよく知っている同級生と付き合ったというのを聞きました。
これまで2回もフラれてるんですけど、「なんだかんだ彼氏作んないし、まだ大丈夫でしょ」なんて甘い幻想を抱いていたんです。
なにが大丈夫なんだかはわかんないけど。

でも彼女が付き合っているということを聞いた時、めちゃくちゃ悔しくて、失恋っていうものをちゃんと噛み締めました。

そして僕はその同級生と彼女がヤッているところを想像して、初めて彼女でヌキました。
なんかすげえ興奮した。
バカみたいだけど、いや完全にバカなんですけど、僕はそれでやっと彼女の横顔から解放されたんです。


ハマジムを卒業するさい子ちゃん。
専属だったからこそ、すぐまたイベントとかで会って話せるよね、なんて勝手に思って安心していました。
彼女の嫌な仕事がこないように松尾さんとかがずっと守ってくれるって思っていました。
だから大丈夫って思っていました。
なにが大丈夫なんだかはわからないけど。

でも専属じゃなくなったら、彼女は仕事を選ぶことができなくなるのかもしれません。
そこらへんはよくわからないですけど、でもこれまでみたいにイベントで会う機会は少なくなるかなっていうのは結構思います。

つまりそれは、彼女が僕にとって普通のAV女優になるってことです。
会えなくなって、話せなくなるってことです。

実際は全然そんなことないのかもしれません。
でも僕のさい子ちゃんへの意識は急激に変わっちゃいます。
これは僕の問題なのでどうしようもありません。

さい子ちゃんの卒業を知ったとき、僕はあの横顔の彼女で抜いた時のことがフラッシュバックしてきました。

「失恋した」

なぜかわからないけれど、そう感じました。

松尾さんじゃなくて違う男優さんと絡むさい子ちゃん。
僕はそれを見てやっと彼女から解放されるような気がします。
AV女優として、エロい目で見られる。

嬉しいのか、悲しいのか、寂しいのか、わからないけど、僕はとにかくさい子ちゃんがハマジム専属から抜けるのは良いことだと勝手に思っています。

でも、やっぱり、いくつになっても失恋っていうのはきついなあ。
平野大地 プロフィール

1992年12月5日生まれ。
現在無職。
「テレクラキャノンボール上映会@日芸」の主催者。

会員登録はこちら
  • YOUTUBEのチャンネル登録する