鶴岡法斎の「恥ずかしいココロ」 第6回
2016-05-26
コラムニスト:鶴岡法斎
岩淵さんへ

「モッシュピット」見ました。映画館のロビーでも話したけど途中で飽きちゃった。うん、申し訳ないけど面白くなかった。
3組のミュージシャン、アイドルのことよく知らないけど、実際ちゃんと見に行ったら面白いんだろうけど、少なくても知らない人間が映画館で見せられて興味持つかというと疑問符。
ところどころ面白いからこそ、ハッとする瞬間があるからこそ、全体の構成が窮屈で退屈だった。
NATURE DANGER GANGのライブ映像はすごくよかったよ。あれは本当に見たこともないものを見られた。あれが映画の冒頭でもよかったんじゃないかな。ファミコンがうまくクリアできないってことのほうがよく伝わるし、気がついたら感情移入してた。激しい音、でたらめなくらい暴れてるメンバー、魅力的な女性の尻、それは新しいものが見られた。それをいきなり見せて、
「これは何なのか?」
「いま何が起こっているのか?」
から説明していく。そのほうがバンドの神秘性、魅力が伝わった気がするんだよ。
浅見さんの喋ってることは、大事な、いいことだと思うけど映画の最初のほうで出すものとしてツカミとしてどうなのかな。だってこっちとしてはよく知らない人だから。部分部分、とてもいいから構成にイライラした。
浅見さんって中心なんでしょ? どうして撮影しててあのくらいしか入り込まなかったのかな。別に喧嘩しろとはいわないけど、岩淵さんじゃなきゃ撮れなかったものって何があったの? あったのかもしれないけど伝わらなかったよ。
現場で見てる人が、現場が一番面白いって感じるならこの作品は意味ないんだろうし。ひどいいい方かもしれないけど映画見てライブ見て、
「映画だと面白そうに見えたのに騙された」っていわれるくらいじゃなきゃ撮ったり編集したりする意味ないんじゃないかな。
 バンドの昔からのファンや、岩淵さんの映画のファンに向けてるならいいのかもしれないけど、いやそれでも個人的にはよくないと思うけど、外側の、リキッドルームにも行ってない人間を振り向かせるならもっと、何かが必要だよ。
あの日、約1000人の前で奇跡が起きたんだと思うんだ。それが映画館で見てる自分にはそれがどういうものなのかわからない。
 ライブ終わって号泣してる女性が出てくるけどインタビューもほとんどなく勝手に泣かれてるように見えるんでこっちが感動する前に興醒めしちゃう。泣くのはいいんだよ。もっと丁寧に説明してよ。
 映画終わってぼんやりしてたら九龍ジョーさんが挨拶に来てくれて、そのときに、
「鶴岡さんはどこに出てたんですか?」みたいなこと聞かれたんだよ。ジョーさんは悪くない。だけどそういう質問が出ちゃうのどうだろう? 結局出てた人が見にくる映画なんじゃないの? それじゃあ外側いけないよね。この世の大多数の人はこのバンドのライブに来てないんだから。
 映画館で見せられるより、飯食ってる時に、
「こんな面白いバンドいるんですよ」って教えてもらったほうがよかった。それはつまり映画として敗北してますよ。
鶴岡法斎プロフィール

マンガ原作者、作家。

最初はエロ本のライターをやっていたのですがいろいろあって、ありすぎて現在に至ってます。

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