ひらの通信 GAS 大同窓会「狂気」
2016-01-27
コラムニスト:平野勝之
GAS大同窓会、満員御礼、みなさまありがとうございました。

なかなかこれだけのメンバーが集まる事は無いので、圧巻で感激のあまり、自分は脳ミソがフリーズしてしまいました。

今回、トーク上映した作品でボスの御大、高槻彰監督の凄さがみんなに伝わったようで良かったです。満足でした。


みなさん、高槻彰監督を、壮絶な狂人と思ったようですが…(笑)、しかしながら僕は当時も今も、いわゆる「狂気」の部分に本質はないと思ってます。

「狂気に見える映像」はわかりやすく明確で「人」が浮上したりするので上映する場合も多いのですが、それはエンターテイメントのひとつの要素でしかありません。重要なのは、そういった事によって炙りだされる普遍的なさまざまな事柄です。


「ガス魂」がもしあるとすれば、それはカメラの欲望なんだと思います。
カメラの欲望と言っても、自分たちは報道カメラマンではありません。報道のような即物的要素を望んでいるわけではありません。



いろいろな制約とか、しがらみとかをとっぱらった時に一体何が残るのでしょうか?


もちろん仕事や目的があってこそなので、このあたりの関係性はとても難しく、結果、お客さんの(例えばAVが望むもの、特にAVは。)希望から外れてしまったりします。制約は利用するものであって目的ではありません。


例えば「ドラえもん」を自分が映画で作るとする。
のび太君が中東に行って、自爆テロの部隊に入ったらどうなるか?とか。のび太がカラシニコフとか持って人を次々と射殺してたらどうなるか?とか、あるいは逆に冒頭でいきなりのび太が射殺されたらどうなるか?とか。
いろいろな可能性を考えるでしょう。しかしそんな発想は当たり前だけど「ドラえもん」には望まれません。仮想として、可能だったとしても、それを単なる悪フザケの小さい世界として自分は作るつもりは無いのです。「ドラえもん」を真面目に作ると思うし、真面目に考えた結果として、のび太を中東に飛ばす事はありえます。



みなさん、100年〜200年ぐらいのスパンで考えてみてください。
その時に何が残るでしょう?

自分だけかもしれませんが、GASでやってきた、あるいは自分が考えてきた、または今後も最終的にはそういうものを目指します。

極端な話、150年後ぐらいの自分の知らない人間が自分の仮想敵だったりします。
自分の場合、頭の中では観客をそのぐらいに設定しています。


そう考えると、司馬遼太郎先生とか、19世紀ぐらいの時計師とか、手塚治虫先生とか、キューブリックとか、歌川国芳先生とか、ルードヴィッヒ・エクスリン博士とか、世界中のあらゆるスーパー頭脳な規模まではとても設定しきれないんで、自分なんかはホントにまだまだで、足元にも及ばずチリみたいなもんです。情けない事に目の前の事でいっぱいいっぱいなんですけど、目指す方角を指し示す指針ぐらいになれれば、とは思っています。


その指針のヒントがかつてのGAS作品にはいっぱいあります。

それらは、人々が気づかず通りすぎていったもの、本当に望むべきもの、そして、娯楽やエロや過激さというスパイスにくるまれた得体のしれない「何か」です。

今後もやっぱり、映像とその可能性を引きずり出す事で現れる「力」を信じています。

ひらの


かつてのGASメンバー+関係の深かったメンツ


左からカンパニー松尾、平野勝之、高槻彰、杉山正弘、井口昇、原達也 水戸拷悶オリジナルメンバー、20年ぶり。

撮影 丸山恵理 (通称、まるちゃん)

平野勝之プロフィール

1964年生まれ。静岡県出身。映画監督。

アマチュア時代より8mmを中心とした映像作品を撮り続け、PFF等で高く評価される。
プロデビュー作はAV「由美香の発情期」。その後、「水戸拷問」「ザ・タブー」といった、ヌケないがひたすらに面白い傑作AVを数多く監督する。
1997年に女優・林由美香との北海道自転車旅行を記録した「由美香」が劇場公開され大ヒット。
その後も自転車旅行を題材とした「自転車三部作」を作り、厳冬期の北海道を自ら走って撮影した「白 THE WHITE」をベルリン国際映画祭に出品している。
2011年11年ぶりの新作「監督失格」を劇場公開する。

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