平野勝之ひらの通信劇場版501 スピード
2016-01-08
コラムニスト:平野勝之
「劇場版501」を見ていろいろ考えた。

この映画の面白さはいろいろあるわけだけど、自分的に最大の魅力だったのは、この映像が持っているスピードだろうと、しばらくしてから思った。


前半から、みのるちゃんが考えて考えて考えすぎて、考えすぎた果てに、考えを越えて、スピードを増していく肉体化した撮影と、編集の洪水がたぶんこの映画のミソな気がした。

これが映画のひとつの快楽なんじゃないかしら?

話がどーのこーのなんて言うのは、映像のスタイルの恐ろしさを知らない人間の言う戯言だと思う。


久しぶりにここまで肉体化した撮影と編集のスピードを見た。

ここまで行ってしまっている映像感覚は、今はあるようでいて無い。


だから、ますます後半が気に食わない。映像のスピードは落ちていき、まとめに入ろうという意図が見えすぎて、せっかくの肉体感が欠如していくから。

映画は難しいと思う。

理屈でいくと失敗するし、肉体化すると、観客を置き去りにする恐れがある。

しかし、501の場合、勇気を持って、観客を置き去りにしても良かったのでは?と思った。

みのるちゃんは、たぶん、体質的に、とどめを刺せないんだろうな。

だから愛されるのだろうし、たぶんそうやって生きてきた人なんでしょう。
それが映像まるごと、ひとつの大きな魅力になってるとは思う。
事は簡単ではなく複雑かもしれないけど、刀で血だらけで切りあってるところを、拳銃一発で仕留める事だって可能なはずだ。


劇場が2時間の枠しか許されないなら、映画がどんな事態になっていても、そこでハサミを入れればいいのである。

もしも僕が編集任されたら、たぶん1ヵ所切っておしまいだ。

なーに、簡単な話だ。
みのるちゃんのぐちゃぐちゃな3時間だか、4時間だかの編集版を、2時間とこで、バッサリ切ればいいだけだから。

ザクッ。


楽な仕事だなー。はははー


悩む事は何もない。


平野勝之
平野勝之プロフィール

1964年生まれ。静岡県出身。映画監督。

アマチュア時代より8mmを中心とした映像作品を撮り続け、PFF等で高く評価される。
プロデビュー作はAV「由美香の発情期」。その後、「水戸拷問」「ザ・タブー」といった、ヌケないがひたすらに面白い傑作AVを数多く監督する。
1997年に女優・林由美香との北海道自転車旅行を記録した「由美香」が劇場公開され大ヒット。
その後も自転車旅行を題材とした「自転車三部作」を作り、厳冬期の北海道を自ら走って撮影した「白 THE WHITE」をベルリン国際映画祭に出品している。
2011年11年ぶりの新作「監督失格」を劇場公開する。

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