ひらの通信 VOL.11
2016-06-06
コラムニスト:平野勝之
ひらの通信モッシュピット

どうやらミュージシャンの映画。自分は全然知らないけど、どうやら東京のアンダーグラウンド3組のバンド、ミュージシャンが出てくるらしい映画。

自分が知ってたのはその程度。

ハマジムによく出入りしてたし、岩淵君が一生懸命何やら連日、編集してたのも知っている。

さて、どんなもんかね?と見始めた。

結論から言うと、特に3組のミュージシャンが好きになる事もなかったし、音がいいと思う事もなかったし、岩淵君の映画として、ビックリ、って事もなかった。

うーん…って感じ。

岩淵君の真面目な造りはわかった…けど、伝わって来ない。

疑問が残るだけで、外に向かうエネルギーが不足してるのではないだろうか?

視点だけで成立するほど、映画は甘くないよ。
身近な内輪だけの弱い共感だけで良いなら別にいいけどね。
なぜ、浅見さんにもっと突っ込まないんだろ?あんなに長く撮ってたはずなのに。
最初のドミューンとやらのシーンで泣き顔してる浅見さんは良かった。そこまでの構成だってそんなに悪くはない。
単純に男心として、ミュージシャンとしてくやしいんだろうな、って伝わってきたから、こりゃワクワクするわい、って思うじゃん。
ところが、そこまでなんだわ。
なんだこりゃ?って。

こっちが引きずりこまれるほどの映画的興奮はなかった。

比べちゃ申し訳ないんだけど、わかりやすい例として、あえて出すけど、山戸結希さんの二作目の映画「おとぎ話みたい」とかは、オレは引きずりこまれたぞ。

ダンスも処女性も少女の事も何にも興味がないオレでさえ、気持ちを持ってかれて、大絶賛だったわ。あれが絶賛されるなら、納得せざるをえない。
ああいう身体性と言うか、身体性じゃなくてもいいから、何か、何でもいいから、そのぐらいの力をどこかに持ちえないと、映画としては、まずいんでねーかい?

あんまり悪口言いたくないんだけどなー、岩淵は好きだからさー。

小さいところにとどまってていいのかなー?って疑問にも思っちゃうんだけどね。

やっぱ、自分の飯食ってるワンカットに負けちゃうようじゃダメなんじゃないかな?
岩淵って言ったら、オレ、遭難フリーター見てないけど、あの飯食ってる岩淵が強烈で(笑)アレだけで、いろんなもん、ぶっ飛んでくからね(笑)

映画の残酷さをもっともっと知った方がいいと思ったよ。

映画の残酷さに勝つためには、自分を残酷にするしか方法がないんだよ。

お客さん、厳しいですよ(涙)
自分に言い聞かせてる事でもあります。

作り手は地獄ですよ。

例えば、傑作を作ったら作ったで、次はそれを越えてかなきゃいけないわけで(涙)

どちらに転んでも楽じゃないっすよ(涙)

平野勝之

平野勝之プロフィール

1964年生まれ。静岡県出身。映画監督。

アマチュア時代より8mmを中心とした映像作品を撮り続け、PFF等で高く評価される。
プロデビュー作はAV「由美香の発情期」。その後、「水戸拷問」「ザ・タブー」といった、ヌケないがひたすらに面白い傑作AVを数多く監督する。
1997年に女優・林由美香との北海道自転車旅行を記録した「由美香」が劇場公開され大ヒット。
その後も自転車旅行を題材とした「自転車三部作」を作り、厳冬期の北海道を自ら走って撮影した「白 THE WHITE」をベルリン国際映画祭に出品している。
2011年11年ぶりの新作「監督失格」を劇場公開する。

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