ひらの通信 VOL.8
2016-03-03
コラムニスト:平野勝之
冬と言えば北海道キャンプツーリング

3月だけど、まだまだ冬だなあ…

冬の間、ずいぶん昔から体がむずむず北海道へ自転車キャンプ旅に出たくなる体になってしまった。

変人とかマゾとかキ○ガイとか言われるけど、自分的にはそうは思ってなくて、気分的には夏の北海道へ行くのとそれほど変わらない。


ちょっと注意が必要で、油断すると命を落としかねないから、まあ、いつもよりは緊張感があるし、ちょっと通常と違う苦労があるかな?ぐらいだろうか?

どうしたわけか、今まで空港で寒い中、自転車組んで荷物を積んで、走り出すと水を得た魚のように高揚しているのが自分でもわかる。

氷点下なんだけど、北海道は空気が美味しいのもあるからかもしれない。
この感覚は内陸ではまったく味わった事が無い。
信州とか山梨とか、北アルプスの白馬とか、京都やら白川郷やら内陸のいくつかは夏冬関係なく行ってるけど、こういう高揚は感じた事はない。

もしかしたら、北海道と言う土地そのものの力が大きいのかもしれない。


以前、アウトドア雑誌の編集長と厳冬北海道の旅の話になった。
ハードな人をいっぱい見てるだろうから、このぐらいはどーって事はない、と思って話してたら、やっぱ変人扱いされた(笑)

僕「でも、冬山登山の方がコワくないですか?」

編集長「いや、冬北海道自転車旅の場合、前例がほとんどないでしょ?ルートとかルールとか定番になるようなレールがまったく無いわけじゃない?」


つまり、そもそも型が無いので、やろうとも思わない、みたいな事を言われた。

自転車旅やってる人間だと冬はともかくとしても、自分ひとりで型を作っていくのが遊びなので、一般的にはめんどくさい事なんだろうな、とは思った。

1人で自転車旅行などやる場合、基本的にレールもルールも無い。やるのもやめるのも自分次第だし、仕事じゃないから(まあ、僕は仕事にしちゃってるけど)どこに行こうが自由なはずだ。


でも、旅の遊びって、そういうもんだと思うんだけどね。
好きなときに好きなとこ行って、やめたくなったらやめるずらよ。


さて、この18年ほど、1999年の「白THEWHITE」の礼文島へ映画を作りに行った旅を皮切りに、今まで5回の厳冬北海道自転車キャンプ旅を経験している。

ついでなので、今までの冬北海道自転車旅もまとめておこう。


1 「白THEWHITE」1999年
12月に本州から走り始めて北海道は2月ぐらいに函館から上陸、札幌経由で内陸部を突っ切り、後半、サロベツ原野で強烈な地吹雪を食らうも礼文島まで到達。この時は地元の浜松を出発して礼文島を目指す冬の1人旅で、途中、仙台で盲腸が発症し入院。2週間以上足止めを食らうが、帰らず仙台にとどまり、撮影旅を続行。このくだりも映画に入ってます。本作は2000年ベルリン映画祭正式招待、また山形国際ドキュメンタリー映画祭でNETPAC賞受賞。


「流氷ツーリング」2002年
知床の流氷を見に行ったツーリングで、楽しかったんだけど屈斜路湖でキャンプ中、夜、テント内でストーブの引火による爆発事故を起こし大火傷をくらって現地で1週間入院。あえなく途中で中断するハメに。



「風ト共ニ去リヌ」
2003〜2004年

ハマジム「UNDER COVER JAPAN」の映像撮影目的で、クリスマスからお正月に礼文島、利尻島、宗谷岬をうろうろするツーリング。 北海道北部の海岸線はとにかく強風地帯で、天候がコロコロ変わり吹雪のオンパレード。
礼文島で、よりによってクリスマスに5、6年に1度あるか?ないか?の猛烈な吹雪を食らい、テントごと潰される。(これも映像に入ってます)また旅の最後の日の早朝、除雪車の放雪にやられ、またしてもテントを潰されそうになる。もうちょいで命を落とすハメに。結構こわい目に合ったツーリング。



「頂上作戦」2008年

1月から2月まで、約1ヶ月に渡り北海道の内陸、大雪山周辺の山岳地をメインにツーリング。北海道の国道最高峰、三国峠を越えるのをメインイベントにした。阿寒湖の湖上にテント張ったり、摩周湖の展望台にキャンプしたり、自転車が樹氷になったり(笑)吹雪にも何度も遭遇したけど、最も思い出深いツーリング。
一番寒い思いをしたツーリングでもある。
夜間のマイナス25〜30度は当たり前で、キャンプしてると水という水は全て凍りつく。特にぬかびら、然別湖周辺の寒さは凄まじく、濡れた手拭いは10秒で凍る。三国峠の下りでは、吐いた息がその場で凍るという経験もした。まつ毛に氷付けたまま走った。早朝に足の指がちぎれそうになる寒さを体験したのもこのツーリング。



「日本海縦断ツーリング」2013年 12月

エイ出版社の自転車雑誌「バイシクルクラブ」のリレー連載企画、日本一周ライドのお仕事「ひらのさん、頼みますよー」ってんで、急遽飛び込んできた企画。任務は北海道の天塩から約300キロ、日本海側を札幌まで縦断してほしいと。リレー連載を春まで中断したくないし、冬の北海道走れて写真撮って記事書けるの、ひらのさんしかいないでしょ?ってんで、いつものようにキャンピング、大雪による停滞も兼ねて1週間ほど。この時は12月にしては雪が全然なく、スパイクタイアによる走行は逆に苦労した。しかし、途中、猛烈な荒れ具合でドカ雪にヤられ景色は一変する。北海道の日本海側は殺伐として恐いイメージがあるので、冬には行きたくなかったけど、この機会が与えられて嬉しかったツーリング。



こうやって思いだしてみると、ずいぶん危険な目にもあってるんだけど、行きたい気持ちは変わらない。
基本的に臆病で弱虫なんだけど、だからこそ逆に行きたくなるのか?

よくわからないけど、行きたくなるんだから仕方ないよね。
単純な話です。

今度は、釧路で鶴でも見て別海、霧多布、厚岸に寄ってカキでも食いに行きたいなー、でもあのあたりも冬なんて大殺伐地帯だなー、真夏でもとんでもなく寒かったし。

真冬の霧多布あたりがどんな世界なのか見てみたいね。

となたかスポンサーいたら、いつでも出撃オッケーです。ノウハウも自転車も機材もあるし、頼む方は楽でいいなー。
さりげなく命懸けで、撮ってきたいですね。
ちゃんと保険入って(笑)

もう冬終わっちゃうけどさ。
ひらの







写真1、2、3
2002年、知床 ウトロにて。海岸までビッシリと流氷。流氷上ではなく海岸の陸の上にキャンプ。パッと見、流氷上にキャンプしてるみたいに見えるね。




写真4、5
同2002年
このツーリングでテント内で引火による爆発事故おこし大火傷食らい入院。退院の時、パチリ

画像の続きは、またひらの通信にて。
平野勝之プロフィール

1964年生まれ。静岡県出身。映画監督。

アマチュア時代より8mmを中心とした映像作品を撮り続け、PFF等で高く評価される。
プロデビュー作はAV「由美香の発情期」。その後、「水戸拷問」「ザ・タブー」といった、ヌケないがひたすらに面白い傑作AVを数多く監督する。
1997年に女優・林由美香との北海道自転車旅行を記録した「由美香」が劇場公開され大ヒット。
その後も自転車旅行を題材とした「自転車三部作」を作り、厳冬期の北海道を自ら走って撮影した「白 THE WHITE」をベルリン国際映画祭に出品している。
2011年11年ぶりの新作「監督失格」を劇場公開する。

会員登録はこちら
  • YOUTUBEのチャンネル登録する