ハマジム映画部
2017-10-06
コラムニスト:カンパニー松尾


松尾「ハマジム映画部、これは第何弾ですか?」

アキヒト「『FAKE』と『愛地獄』で第三弾かな」

梁井「『シンゴジラ』は?」

アキヒト「やってない!」

松尾「まあ何弾かわかんなくなりましたが、どうでもいいや。先週ですか、立て続けにみんなで映画を見て、それなりに賛否両論、異論反論オブジェクション含めてありまして」

アキヒト「俺は全部面白かったよ!」

岩淵「結論が早いっすよ!」

松尾「ふふ。メジャー映画からハマジム配給モノまで勝手に話しましょう。ってことで、お題は『新感染』『ベイビードライバー』『劇場版 其ノ灯、暮ラシ』の三本ですね」

アキヒト「お願いします!」



『新感染』

松尾「まずは『新感染』。韓国のパニック映画と言われていて、俺は前情報は何も見ず、名古屋の特派員の山口さんが良いってツイートしてて、それで見たいなーと思ってて」

アキヒト「うんうん」

松尾「それで公開からしばらくして見てみたら、俺はそもそもゾンビ映画を見たことなかったし、避けてたんですよね。映画館で怖い思いしたくないなって」

アキヒト「俺も怖いの嫌い!」

松尾「それはね、中学の時に『オーメン』が流行ったんですけど、もうそれがダメだったから」

アキヒト「666だね」

岩淵「ダミアンですよね」

梁井「『オーメン』知らないっす」

松尾「そうだよね、40年くらい前の映画だから。梁井は怖い映画は見てた?」

梁井「ジョージ・A・ロメロの『ゾンビ_』は見たことある。あと_最近だと『ワールド・ウォーZ』。ブラピのゾンビ映画」

アキヒト「そんなのあるんだ」

梁井「ジョージ・A・ロメロが商標登録しなかったことがゾンビって単語が広がった原因だって浜田社長が言ってました。『ゴジラ』ものってならないじゃないですか」

松尾「確かにそうだね。死んだ人が生き返るって話はその『ゾンビ』が最初なんだ?」

梁井「これも社長が言ってたんですけど、消費社会に対するメッセージとか、『ゾンビ』には社会的な意味合いが含まれてるみたいで」

松尾「『スリラー』もそうですよね。マイケルジャクソン。ストーリーは全然ないですけど。とにかく、これまであんまりゾンビものを見てこなかったんです」

岩淵「はいはい」

松尾「まずね、中学校以来の怖い映画だったから単純に怖かったんですね(笑)なおかつ、キムギドクの映画に出てた俳優さんには親しみがあったので、とにかく人相が悪くて体つきがゴツくて、この人は絶対に何かやってくれるなと(笑)マ・ドンソクという人ですね」

アキヒト「主人公ではないんですよね」

松尾「サブの人ね。ドンソクが出てきて、個人的に期待が高まって(笑)ストーリーはシンプルなんですけど前半の描写が怖くて、最終的にゾンビと戦うんですけど、なぜ戦うかがシンプルで明確で。そこに僕は泣かされたなって」

アキヒト「応援できたの?」

松尾「応援っていうか、単純に感情移入が出来たの。ゾンビっていうより、ドンソクが戦うモチベーションが良かった」

アキヒト「俺は生まれて一番怖かった、見た映画で一番」

松尾「そこまでいきますか…そのくらいあなたも見てないってことですよね(笑)」

アキヒト「『エルム街の悪夢』でホラーを見るのは止めようと思ったから。そっち系が弱い。怪談も嫌だ!だから松尾さんに勧められなかったら『新感染』も行かなかった」

梁井「俺は嫁と見に行ったっす。嫁がゾンビ好きで。『ウォーキングデッド』って海外ドラマも全部見せられてて。見ると面白いっすけどね。『ウォーキングデッド』は人間ドラマっぽいっす。対人間になっていく話がいっぱいあって。ゾンビの存在に怯えて、結局人間への不信感とかそういう話になっていくんす」

アキヒト「へえー面白そう。ぶっさんは?」

岩淵「松尾さんがTwitterで『新感染』の感想を書いてて。エンドロールがあって良かったって書いてて」

松尾「涙が出ちゃったからね」

岩淵「そんなことあるかと思って(笑)松尾さんエンドロール嫌いじゃないっすか」

松尾「そう、いつもエンドロールって長えなークソつまんないなーって思う(笑)」

岩淵「だから松尾さんの作品ってエンドロールが短いんすよね。ほんで、たまたま実家の仙台にいた夜に松尾さんのTwitterを見て、近所のシネコンでレイトショーがやってたんで、お客さん5人くらいで見ました」

松尾「新宿とはえらい温度差ですね」

岩淵「冒頭の親子の軋轢というか、不器用なお父さん像がまずピンとこなくて」

松尾「仕事にしか興味がないお父さんだよね」

梁井「ピンとこないってどういうこと!」

岩淵「いや、感動ベースで見てるから、どこに松尾さんは感動したんだろうって見てたのかもしれないっす」

松尾「うん」

岩淵「それで、あれ?俺は乗れないぞと思って」

梁井「松尾さんの『ベイビードライバー』の感想と一緒じゃないですか(笑)」

松尾「うふふ、あとで言いますけど」

岩淵「そんでゾンビ描写も、ゾンビの動きが速すぎたりして」

松尾「ゾンビってそういうもんじゃないの?」

梁井「社長のゾンビ史から言うと、以前はふわーっと動いて、噛む」

岩淵「今回で言うと、食ってる描写もそんなにエグくないし、むしゃむしゃのシーンもイスで隠れてたりするじゃないですか」

松尾「そういうエグい描写が売りだったりするの?」

岩淵「残酷なものを見たいわけじゃないですけど、驚きたいじゃないですか。でも驚けなかったんですよね、俺は」

梁井「本来は腕がポーンと飛ぶとか丁寧に描いたりするよね」

岩淵「韓国映画のエグいシーンってすごいエグいじゃないですか。そういう部分が無かったのがなあ」

アキヒト「えー、エグいじゃん!腕が変な角度に曲がったり!」

松尾「俺は冒頭の鹿がきゅるきゅる戻るシーンでアウトだったからね。あの示唆でビビっちゃって」

岩淵「鹿もあんまり怖くなかったっす。時代を巻き戻すと、松尾さんが昔いたV&Rって死体の映像を出してたじゃないですか。松尾さんって『デスファイル』とか撮影してなかったでしたっけ?」

松尾「あー!死体撮ってる。散々撮ってるよ」

岩淵「それなのに、なぜゾンビ映画にビビっちゃうんですかね」

松尾「確かにV&Rいた時に『ジャンク』っていう、人間の皮をピーって剥いでいくやつとか出してたけど、目をつぶってたよね。あと、自分で死体を撮りに行く時はカメラマンだから、テレクラと一緒だよね。どんな化け物が出てこようが、カメラを持ってればビビったりしなかった。それはいつもそうで、うんこの撮影も臭いと思わなかったし」

アキヒト「それは鼻が悪いからじゃない」

松尾「まあ鼻も悪いけど(笑)自分で撮る分には大丈夫なんだよなー」

アキヒト「結局、映画に乗れたかどうかだよね」

松尾「ぶっさんがピンとこなかったヒューマンドラマの部分も、パパ目線が入っちゃって。俺って娘のこと本当はわかってないんだろうなって。実生活でもそういうことがあって」

アキヒト「彼氏彼女でも起こりうることじゃない?相手のことをわかってないって」

梁井「でも嫁のためには死ねないじゃないですか(笑)」

アキヒト「言っちゃうね!」

岩淵「子供いないから、それはわかんないっすね」

松尾「嫁だったら最悪の場合は突き飛ばして、お前は自分でなんとかしろ!って言えるかもしれないけど。娘や息子になるとなー」

岩淵「梁井さんは?」

梁井「俺は普通に楽しめた。わーって感じ」

岩淵「結末も?」

梁井「んーオチにはそんな乗れてないかな。松尾さんみたいに号泣はない」

松尾「俺も結末じゃなくて、その手前で泣けたんです。なんで戦うのかって話で、主人公は嫌なキャラでずっと通してたけど、ドンソクだけがみんなに対して動いてて。ドンソクが人間の盾になるところで最初にきちゃいましたね」



岩淵「俺は『ベイビードライバー』を一人で見て、最高だーってテンションが上がって、松尾さんとアキヒトさんと梁井さんを誘ってもう一度見ても、最高だーってなったんですけど、終わった後に松尾さんが腕でペケを作ってて「これ少年漫画じゃねえか」って」

アキヒト「それでいいじゃん。俺は楽しかった」

岩淵「それが、俺が『新感染』にまんま思ったことだったんですよ。そこまで没入できなかったんですよ」

アキヒト「『新感染』のさ、野球部の女の子のシーンとかグッとこなかった?」

岩淵「んー、もうその状況にノレてないんで」

松尾「ぶっさんが、状況がわかんないじゃないですかって言ってて」

岩淵「はいはい」

松尾「映画の中の乗客と、観客も同じ体験をさせられるというか、情報が不安定なんだよね。感染症の話だけどテロだ暴動だみたいな。それで政府が安全ですって説明があったり。あれはリアルで良かったけどね」

岩淵「んー、リアリティを感じなかったんだよなー」

アキヒト「野球部のカップルとか本当に良かったじゃん!俺が当事者だったらどうしようってずっと考えてて」

松尾「作戦を考えながら見てたんでしょ」

(ここでアキヒトが最後の敵との戦いを自分なりの作戦で解説するが長すぎるので省略)

松尾「…アキヒトの作戦を聞いて、お前はそこまで生き残ってないよ(笑)」

アキヒト「そうかもしれない。俺はすぐに殺られる。梁井はどうする?噛まれたら」

梁井「やっぱり腕を切り落としますかね」

アキヒト「どうやって腕を切り落とせばいいんだよ!」

梁井「ブラピの「ワールド・ウォーZ』だと、噛まれてから12秒でゾンビになるんすよ(笑)その間に腕を落として女の人を守るんす」

アキヒト「そうかー、ゾンビになりかけのドンソクもかっこよかったなあ」

岩淵「アキヒトさんはドンソクに感情移入してたんですか?」

アキヒト「あんな真っすぐな人はなかなかいないですよね」

松尾「ぎゃはは!」

アキヒト「俺だったら自分の娘のことしか考えられないから。それを真の心だけで動くドンソクが…思い出してきちゃったね」

松尾「泣いちゃいな」

アキヒト「どこまでいっても自分はあそこまで出来ないなって」

松尾「常に自分のこととして考えてるな!」

梁井「映画への入り方がすごいな…」



『ベイビードライバー』

松尾「『ベイビードライバー』はまずぶっさんが感染して(笑)」

岩淵「そうです。豊田道倫さんが、最近色々見た中で『ベイビードライバー』がすごく良かったって言ってて。何度も勧められてたのである日見に行きました。ずっと音楽が鳴ってるんですけど、それは主人公が耳鳴りがするから、それを抑えるためにiPodでいつも音楽を聴いてるって設定なんですけど。その曲が昔聴いてた曲だったりですごく楽しかったんですね」

松尾「ジャンルとしてはあの音楽は何なんですか?」

岩淵「ぐちゃぐちゃですね」

梁井「年代も限定されてないっすね」

松尾「シャッフルみたいな感じ」

岩淵「ずっとイヤホンしてるじゃん!とか、そういう違和感が全然引っかからなくて。出会った瞬間に恋に落ちるとか」

松尾「それは映画だから!」

岩淵「いや、普段は割と映画のご都合主義なところになんじゃそりゃって思うんですけど」

松尾「えー(笑)だってアメリカの映画って主人公が大体レジで女の子に恋に落ちるじゃないですか(笑)」

梁井「すれ違ったくらいで恋に落ちるよ(笑)」

岩淵「だから、韓国映画の『息もできない』とか最後まで結ばれずに終わったり、そういう方が好きなんですけど」

松尾「唾をかけ合うような『息もできない』は大好きですね」

岩淵「とにかく『ベイビードライバー』は没入したんです!」

松尾「うんうん、俺がその設定を少年ジャンプ的って言ったのは、耳が聞こえないって設定と、天才ドライバー(笑)」

岩淵「いいじゃないですか」

松尾「それがジャンプなんだよ!市井の人じゃなくて、天才かよって」

アキヒト「『ワイルドスピード』もそれに近いかな、松尾さんは天才ドライバーをまず疑うんですか?」

松尾「いや、楽しむ要素として最初はいいのよ。あとミュージカルみたいに主人公がふわふわ踊るとこも良かった」

アキヒト「最初のワンカットもかっこ良かったっすよ〜」

松尾「_主人公のベイビーもクリスチャン・ロナウドみたいで良かったですよ。最後まで生き残る奴もブッフォン(イタリアのサッカー選手)みたいで良かった」

アキヒト「ブッフォン!松尾さんの好きな選手ですね」

松尾「最初は違和感なく楽しんでたんだけど、だんだん胸糞が悪くなってきたのは、主人公が人を殺したことが残念で。天才ドライバーなら人を殺さずに上手いこと切り抜けられないのかなって。よしんば人を殺したとしても、自分と彼女のためじゃなくて、違う見え方が出来ないのかなって。あと最後の最後に俺の嫌いなアメリカっぽさなんだけど、「彼はいい人でした」みたいな証言も嫌だった。もっと手前で終わってほしかったなー。皆殺しじゃダメなのかな」

アキヒト「それは嫌だなー」

梁井「確かに最後は余計でしたね」

松尾「罪が赦されちゃうところがね…。実際は罪は赦されるべきだと思うんだけど、映画の中ではなー。うーん」

アキヒト「人を殺すことに悩んでたからね、人殺しは無くても良かったのかもしれない」

岩淵「うーん、アクセルを踏んで助手席の人が死ぬところは、あれを撮りたかっただけなのかな」

アキヒト「絵的にね」

岩淵「うん。真意はわかんないっすけど」

松尾「『新感染』もそうですけど、戦いになるじゃないですか。その時に銃と銃で撃ってしまう。その時に、何のためにっていうのが『ベイビードライバー』では彼女のためにって話だけなのがな…」

アキヒト「でも彼女は奇跡の人ですから。かわいいから。コインランドリーのシーンもすごい素敵だった」

松尾「それは描写がいいってだけでさ。全編ミュージッククリップみたいな作りだからね」

アキヒト「彼女のためならって僕は思いますよ!で、松尾さんは見終わった直後に、これは映画である必要がないって言ったんだっけ?」

松尾「いや、ストーリーがクソだなって」

アキヒト「わはははは!」

松尾「俺はテーマしか見てなかったから。なんかさ、ギドクしか見てないとおかしくなっちゃうのかもしれない(笑)」

岩淵「監督は何を描こうとしているのか、ってとこに目がいっちゃうんですね」

松尾「ギドクの映画を見続けると、そこを見る訓練が出来ちゃうっていうか。だってギドク映画は描写が変だから(笑)」

アキヒト「それは作り手として見ちゃうってこと?」

松尾「いや、見る側としてですよ。俺は物語は作れない。見る側の楽しみの話ね。このストーリーを見て、何が残るのかなって」

アキヒト「梁井さんは『ベイビードライバー』について何も喋ってないですけど」

梁井「だってジャンプ読んだ後に何もないじゃないっすか。面白くもあり、くだらなくもあり、何も残らないっていうか(笑)俺にとっては」

岩淵「そりゃそうですけど、俺、少年漫画大好きだから」

梁井「『スラムダンク』は残るものがあるけど、『ドラゴンボール』は残るものがないって感じかな」

岩淵「俺『ドラゴンボール』も大好きっす」

アキヒト「俺は『キン肉マン』も大好き!」

岩淵「アキヒトさんが少年漫画みたいな人ですよね。じゃあ『其ノ灯、暮ラシ』の話にいきましょう」



『劇場版 其ノ灯、暮ラシ』

梁井「一気に_自主映画の話ですね」

岩淵「じゃあ劇場版プロデューサーの松尾さんに上映までの経緯を聞けばいいのかな」

松尾「そうですね。最初はDVD版が135分あって、それを発売前に宮地から手渡しでもらって。見てみたら、まずはMOROHAが俺はそもそもそんなに好きじゃなかったのだけど、見たら良かったなーって」

岩淵「どういうところが良かったんですか?」

松尾「MOROHAの姿勢がすごく良く伝わってきて。今後ライブに行くかって話は別として、映像として落とし込んでもらった時にMVよりも全然見れたなって」

岩淵「MVはそもそも見てたんですね」

松尾「宮地つながりでね。『上京タワー』『バラ色の日々』『Tomorrow』か。松居大悟の『Tomorrow』がよく出来てた。松井大吾うめえなあって。俳優の東出くんが出てくるんだけど、松井くんらしい。『上京タワー』は宮地が作ってるんだけど、最初にMOROHAを見たときは熱すぎちゃって、なんか僕の世代だと尾崎豊みたいな感じというか。「自由になりたくないかい?」って言われても、いやいやいや!みたいな。俺と尾崎豊って同じ年なんだけど、尾崎豊を聴いてたのは下の世代なんですよ」

アキヒト「俺が中学の卒業の時は「この支配からの卒業」ってみんな歌ってましたよ」

松尾「『15の夜』とか『卒業』とか、描いてる世界のリアリティはわかるんだけど、尾崎が歌うことによって、自分も若かったからかもしれないけど、付いていけなかったんだよね。それをMOROHAにも感じていて、歌詞とか佇まいとか言い切り方とか、アフロくん独特の熱いものを感じるんだけど、そういうストレートなものに両手を挙げて賛成できないっていうか」

アキヒト「うん」

松尾「『其ノ灯、暮ラシ』はドキュメンタリーで撮られていることもあって、その熱さが分かるように伝わってきたというか。MVよりもMOROHAのことが伝わってきたのが一点と、MOROHAのツアードキュメンタリーなのに宮地の物語でもあるし、そのバランスがとても優れていて、宮地ちゃんと編集できるんだなって(笑)」

アキヒト「どういうこと?(笑)」

松尾「宮地にはね、俺は色々あってね。さかのぼれば『ミヤジネーション』からなんですけど、あいつの作るものにはアップダウンがあって、なかなかMV芸者というか器用貧乏なところもあるだろうから、いいな!って思うものと、えっ!?て思うものが交互に繰り返されるところがあって、それで言うと、例えば『sis 消滅の詩』はあれって思ったり…。でも『其ノ灯、暮ラシ』はうめえなあって。あとセルフドキュメンタリーって久しく見てなかったなっていうのもある」

アキヒト「うんうん」

松尾「とにかく、これは劇場版にしてもいいんじゃねえかなと。たぶん誰もやらないだろうから、やってみたいなって。それで宮地に声をかけた」

岩淵「ハマジム的には『モッシュピット』(2016年5月)以来ですか」

松尾「そうですね、それからBiS関係はありましたね」

岩淵「ああ!『BiS 誕生の詩』『SiS 消滅の詩』(2017年2月)があるんですね。じゃあハマジム配給は『モッシュピット』以来なんで1年半ぶりですか」

アキヒト「そうだね」

岩淵「2015年頃は異常に映画の配給をしてましたよね。『劇場版 501』(2015年1月)、『劇場版 どついたるねんライブ』(2015年8月)、『青春100キロ』(2016年4月)、『モッシュピット』とあって、それからイベントもやってなかったじゃないですか?あえて止めてたんですか?」

松尾「テレキャノ以降、イベントとか上映とか連続でやってて疲れちゃってきたのと、イベントの入りと空気が毎回同じになってきちゃったので、ちょっと止めようかなと。あとは全く無関係だけど、去年の11月に雨宮が死んで…、それからやり甲斐っていうか、そんな大袈裟なものじゃないんだけど、お客さんに見せる手前に思い浮かぶ人もいて。雨宮さんとか、松江くんとか、自分の奥さんとかさ、お客さんの手前側の人っていうのはいて、雨宮さんが亡くなっちゃって、もういいのかなみたいな。心情的にはそうなってて」

アキヒト「去年末ですね」

松尾「あと、去年の9月にBiSのオーディションがあって、次に今年のオーディションも撮ってるから、ずっとつながってたんだよね」

アキヒト「あと今田とぶっさんがいなくなったのも去年の9月で、11月に雨宮さんが亡くなって、年末までズドーンと落ちてましたね。俺的にはね」

岩淵「俺が今年の7月からハマジムにレンタルデスクを借りる形で戻らせてもらって、そのタイミングでDVD版の『其ノ灯、暮ラシ』もいただいたんですね。タイミングが色々合ったというか」

松尾「そうだね」

岩淵「それで、今年の9月30日からポレポレ東中野で『劇場版 其ノ灯、暮ラシ』がはじまって、その前後で宮地くんのオールナイトイベントを松尾さんが組んで、という流れですね」

松尾「ぶっさんはどうだったんですか?『劇場版 其ノ灯、暮ラシ』をポレポレで見て」

岩淵「大きな構成でいうと、オープニングの色々があって、宮地くんの家族の話とMOROHAのライブが重なっていくんですけど、その重なっていくところでMOROHAのライブの音響がグーッと良くなっていくから、その迫力と宮地くんのエモーションが同調して、泣いたりはしなかったけど、最期まで一気に持ってかれたので105分は長く感じなかったかな」

梁井「俺は長かったな。途中のDo itのシーンで一回終わって、そこからが長いなーって」

アキヒト「でもDVD_版よりも大分見やすかったし、線が一本になっているようで」

松尾「DVD版はMOROHAのおちゃめなところも入ってるから、劇場版では感情の持っていき方をフラットにしたって感じかな。落とした箇所は他のバンドとのコラボも良かったんだけど、劇場版は感情の起伏をあまり付けないように、宮地、MOROHA、お客さんの三点に絞ったって感じですね」

アキヒト「落とした部分もすごくいいんだよなー」

梁井「DVD版ではUKくんが印象的だったけど、劇場版ではそれが薄まった感じなんですよね。DVD版ではもっとごちゃごちゃしてた中でUKくんが落ち着いてたから印象的だったのかな」

松尾「うん。音楽的には今も熱苦しいなあとは思うけど(笑)あと音楽ドキュメンタリーの命題で、やっぱりファンの人しか見ないんだよね。『モッシュピット』もファン以外にも届けたいって一生懸命やったんだけど、難しい部分はあって。今回もそう思ってて。ファン以外にも届ける可能性っていうと、セルフドキュメンタリーっていうところと、俺がMOROHAをそんなに好きじゃなかったのに、好きになれたっていう作りがなされているから、ぜひスクリーンで見てほしいんだよね」



岩淵「松江さんとこないだ会って話してきたんですけど、松江さんの感想を言ってもいいですか?」

松尾「いいよ」

岩淵「松江さんはテロップがいらないんじゃないかって。宮地くんの主観のテロップが強すぎるって」

アキヒト「確かに。それで情報量が多くなるところがあるんだよね」

岩淵「セルフドキュメンタリー云々で語るんであれば、そこが結構肝というか。宮地くんがやりたいだろうからやってるんだろうけど」

梁井「「カメラが言う」とかのテロップだよね」

岩淵「宮地くんのやりたいことでもあるんだろうけど、松尾さんが入れる主観のテロップとはちょっと違うなって。…なんだろう。主観テロップってなんだろうって話なんですけど」

松尾「うんうん。松江はやっぱり指摘がすごい。あのテロップがなくても観客は感じるんじゃないかってことだよね。元カノの顔のアップだけでもお客さんは沁みるものがあるんじゃないかと」

岩淵「演出方法の話ですね」

アキヒト「でも、テロップが入ることでより沁みる人もいるでしょうしね」

松尾「そもそも宮地のセルフドキュメンタリーはテロップが結構入ってるんだよな」

梁井「最近一気に過去作を見ましたからね」

松尾「初期からテロップの重要度は高いよね」

岩淵「いや、重要度は高いんですけど、全部やっぱり強すぎるっていうか」

松尾「肝心なことを言っちゃうんだよね。まあ俺もやっちゃうけど(笑)一番肝心なことをテロップで言っちゃう」

アキヒト「宮地くんは忙しないところにテロップが入るから情報量が多くなっちゃう。あと、ぶっさんは先にテロップで結論を言うから、あれはいらないっていつも言うよね。まあそれぞれの癖なのかな」

松尾「あと平野さんはテロップワークが上手じゃん。で、今田さんは独特じゃん(笑)それぞれの世界観だから。そういう意味でいうと、今作はセルフドキュメンタリーであるが故に、そのテロップ問題は非常に難しいところです。入れたい気持ちも重々わかるから」

岩淵「宮地くんのテロップは大振りなんですよね。ホームランバッターみたいな(笑)言葉が強くて重い」

松尾「あとね、俺はそこよりも、日付のテロップがもったいない。日付と場所の表記をもっと印象的に見せられるんじゃないかなって思ってて」

岩淵「うんうん」

松尾「あと良き点ももっと話したいんだけどさ、音楽ドキュメンタリーとセルフドキュメンタリーのバランスがとても良かったのと、曲を踏み台にして自分の枯渇を伝えてる。テーマになっている「僕とカメラに何が出来る?」っていうところでいうと、僕なんて一人だし小さいけど、カメラという武器を使ったときにどう戦うかって話だから。そういう意味でも戦ってるし、ちゃんと捉えてる。その強さは感じる。MOROHAがあんまり好きじゃない人にも届けたいです」

『バラ色の日々』MV


松尾「あと、これは女性が見たらどう思うんだろうっていうのはあるよね。『バラ色の日々』のMVは女子にも受け入れられてるんだよね?」

梁井「どうなんでしょうね」

岩淵「『ラ・ラ・ランド』もそうじゃないですか。あれも元カノが忘れられませんって話じゃないですか」

松尾「そうですね」

岩淵「ああいう男の女々しさって女子は引かないんだなって」

松尾「確かに。物語にするとね。現実だと引くくせにね(笑)現実でシャットアウトする分、逆に物語だと見れるのかな」

アキヒト「舞台挨拶では女性は誰が来るんでしたっけ?」

松尾「AV女優の戸田真琴さん、アイドルのチッチ、アイドルの姫乃たま」

アキヒト「その感想は聞きたいなー」

松尾「でもさ、『バラ色の日々』って俺はあんま好きじゃないの(笑)MVの作りとしてよくやったなと思うけど、作り自体はひえー怖いーみたいな(笑)感情移入しないんですよ」

梁井「俺も全然しないんすよ」

アキヒト「俺も大好きなMVだけど、何回も見れない。思いが強くて」



岩淵「男って元カノのことがずっと好きなんでしたっけ?」

松尾「好きっていうか、勝手な感情だけど幸せになってほしいと思うよね」

梁井「忘れることはないよね」

松尾「電話かかってきたら出ちゃう!いま何してんの?って会話はしたい!」

梁井「したい!」

岩淵「女は元彼のことを捨てるんですよね」

松尾「ゴミ箱ですよ、削除ですよ(笑)」

梁井「マジで忘れてる。5年前はもうない(笑)」

松尾「でもさ、『バラ色の日々』は相手もカメラマンで相互理解がありますからね。両方撮る側だから、男女の別れはあったとしても、人間的にはオッケーって感じじゃないですかね」

岩淵「でもあれだけ彼女のこと撮ってたら、彼女の裸は撮ってないんですかね、宮地くん」

松尾「やった後みたいなカットはあるよね」

梁井「おまんこは撮ってないでしょ(笑)」

松尾「それが出てきたら写真がどうとか言ってられないでしょ!(笑)」

岩淵「『投稿写真』に写真を送る中年の変態カップルいるじゃないですか。その露出狂の表現欲求とは違うんですかね」

梁井「違うだろー(笑)」

松尾「それくらいやってるとすごいけどね(笑)外で_コート脱いだら全裸で縄に縛られてて(笑)これが俺の表現だ!って(笑)『アップル写真館』の露出したり小便したり、そんな写真の『バラ色の日々』って手はあるな(笑)」

梁井「アンサー作りますか!セフレのまんこ撮って(笑)」

松尾「アナルの脱肛とかね(笑)これが本当のバラ色だって!(笑)」

アキヒト「もうやめなさいよ!」

松尾「うふふ。宮地は正直だよね。まっすぐで」

梁井「なんかサイコパス感ありますよね。ちょっと信じられないというか」

岩淵「信じられない(笑)ひどい(笑)」

松尾「ちょっとサイコパスかもしれないね」

岩淵「『其ノ灯、暮ラシ』も彼女の写真に大好きってシール貼って、それを壁に貼ってたりね。ヤバい部分が映ってますね」

梁井「信じられないよ!あんな写真!(笑)」

岩淵「自分へのツッコミというか客観性はあるんだけどね」

梁井「編集が出来るから客観性はあると思うんだけどね。あと、もっと最低なものが見たいっていうのはある」

松尾「宮地はそれが足らないかもしれない。もっとグチャグチャになってもいい。まあ、それは極端だけど『バラ色の日々』のMVが好きな人にも『其ノ灯、暮ラシ』は見てもらいたいけどね」

梁井「恋愛映画として」

松尾「あ、そうした方がいいね」

岩淵「恋愛ドキュメンタリー映画だ!」

松尾「宮地は恋するピーターパンだからね。恋しているシーンもあるしね」

岩淵「じゃあ「恋してますか?」ってキャッチフレーズに変えるのもいいかもしれないですね(笑)そういう意味でいうと女の子もヨダレ垂らして見れますよ」

松尾「(笑)そうですよ、MOROHAに恋して、宮地に恋して、自分に恋して」

アキヒト「カメラとかドキュメンタリーって話よりも、その方が取っ掛かりになるかもしれないですね」

梁井「サイコラブドキュメンタリーとして(笑)」

松尾「(笑)確かに!サイコラブドキュメンタリーの側面もあるよね!」

梁井「それは俺作れないっすもん」

岩淵「出来ない出来ない。相手への思いを作品にしました。それを直接相手に見せに行くってレベル高いですよね」

松尾「かなり高いですよ。普通は出来ない。だから恋愛ドキュメンタリーとして女子にも見てもらいたいですね!」





劇場情報
『劇場版 其ノ灯、暮ラシ』
9/30〜10/20 ポレポレ東中野
連日20:50〜(105分)一般¥1.700

トークゲストや『ミヤジネーション』特別上映の詳細はポレポレ東中野HPへ→ 
https://www.mmjp.or.jp/pole2/

作品情報
アコースティックギター担当のUKとMCのアフロからなる2人組音楽ユニット「MOROHA」が、2016年から17年にかけて全43公演を行った「MOROHA III RELEASE TOUR」の密着ドキュメンタリーで、17年6月にDVDとして発売された映像に再編集を施して製作された劇場版。「MOROHA」のライブだけでなく、観客や家族の人生を照らし合わせ、「MOROHA」の音楽が聴く者の日々とどのように共鳴しているのかという点にも焦点を当てる。監督は、様々なミュージシャンのMVやドキュメント映像を手がけ、16年に発表した「MOROHA」のMV「バラ色
の日々」が話題を集めたエリザベス宮地。

10/21〜10/27 大阪シアターセブン レイトショー
http://www.theater-seven.com/2017/movie_sonohi.html

10/28〜11/3  名古屋シネマスコーレ レイトショー
http://www.cinemaskhole.co.jp/cinema/html/home.htm

順次、全国ロードショー

予告


*カンパニー松尾の『劇場版 其ノ灯、暮ラシ』公開にあたって
も合わせてどうぞ 
https://companymatsuo.tumblr.com/


カンパニー松尾プロフィール

AV監督。1965年愛知県生まれ。

1987年、童貞でAVメーカーV&Rプランニングに入社。
翌88年、監督デビュー。特技はハメ撮り。趣味はカレーとバイク。
1996年、V&Rを退社しフリーとなり、2003年、自身のメーカーHMJM(ハマジム)を立ち上げる。
代表作として『私を女優にして下さい』、『テレクラキャノンボール』など。
2014年2月『劇場版 テレクラキャノンボール2013』が公開され大ヒット。
さらにアイドルグループBiSの解散ライブを追った『劇場版 BiSキャノンボール2014』が2015年2月に公開されヒットし、ちょっと調子に乗っている感あり。

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