カンパニー松尾のPG by HMJMお宝発掘ガイド VOL.3
2017-08-18
コラムニスト:カンパニー松尾
カンパニー松尾による見どころ解説!
PGbyHMJM 自作ベスト10(V&Rの旧作は除く)

カンパニー松尾監督が自ら選んだPG自作ベスト10 & 本人による作品解説をお届けします。見てから読むか、読んでから見るか、いずれもオススメの名作揃いです。

● 第10位:『テレクラキャノンボール2013』(2014年)


「10時間のAV版・劇場版・裏とありますが、ざっくりまとめて。これを入り口として入ってくる人が多いし、僕自身もキライじゃない。テレクラキャノンボールシリーズの中では一番の出来です。新しいファンの人たちはこれで知ったと思うので、挙げとかなきゃという義務感もあります。が、どーにもこーにも強力ですよ、コレは。AVとしても、この後続くベスト10の中でも一番異質ですよね。抜ける、抜けないの話はココにはないです。抜く人がいればいいけど、一番抜きづらいとは思う。
ただ「AVってこんなに面白いですよ」って、AVのフォーマットを使って、こういうやり方もある、こういうこともできるんだという部分で一番分かりやすい。ここから入っていただいて、ハマジムのAV、僕らのAVを見てもらいたいなと思います」

● 第9位:『恥ずかしいカラダ DOCUMENT ましろ杏』(2010年)


「最近、ましろ杏が復活したんだよね。挨拶にも来てくれたんだけど、俺はニアミスで会えてない。最初の出会いは、向こうが勝手に俺を見つけたというか。女子大生の頃に、阿佐ヶ谷で松江(哲明)君とやった『UNDERCOVER JAPAN』の上映イベントに来てて、AVに出たいと思ったらしい。でもそれは単なるきっかけだと思う。で、PCで検索して大きな事務所に入って、すごいカラダの人なので単体女優として契約されたんです。事務所の人と「松尾ファンだという子が来ましたよ」「じゃ撮らせてくださいよ」「それが大手に決まっちゃって〜」と話してて、半年〜1年後に撮れた作品。
地方に住んでる時は周りとコミュニケーションが取れず、映画やサブカル的なものを教えられて自分で吸収していったサブカルこじらせ系の感じの子。元彼が松江君のファンなのかな。以前はサブカルオタクとエロはあんまり結びついてなかったけど、松江君とかが垣根をなくす仕事をしてくれた流れの中の最初の人かもしれない。カラダがすごいしエロいし、両立してるニュータイプ系ですね。Weekday Sleepersの当時の新曲も使ってます」

● 第8位:『中出しスレンダラス ジュンナ』(2011年)


「これはね、ジュンナという女のスタイルが、この時に一番良かったですね。実用性だけで選びました。最初のセックスの後半、挿入してから騎乗位でカメラが彼女のケツを捉えてるカット。延々2分くらいずっとやってるカットがとにかく素晴らしい。自分の日常オナニー用です。うーん、一番イケるなあ、ジュンナは…。
ヤリまくってるビデオなんであんまり何もないです。でもちょっと変わった子で、ここで聞いた話は良かったかな。俺は、中出しモノって実は撮りたくなかったの。彼女の中出しの定義が少し変わってた。今まで男性とうまくいったことがあんまりないみたいで「中出しは最後に体を離さないから結びつきを感じる」と言ってた。そういう中出しの定義を初めて聞いて、女性はそんなふうに思うんだ、なるほどと思いました」

● 第7位:『恥ずかしいカラダ NO.1 EROS 水城奈緒』(2009年)


「単体女優だった水城さんが企画女優に降りてきて、俺が撮ったらとんでもないドスケベだったという…。これは売れたし、抜けますね。すごくエロいし濡れる人だけど、ただ、本編に入ってないちょっとしたオチがあって。
全部ではないけど、セックスの時にコンタクトを外すというんです。あんまり性体験がないまま単体になり、だんだんHも面白くなっていくんだけど、コツがあったんだって。撮影の時にコンタクトを外す。周りにスタッフがいる状況をなるべく分からないようにした方が集中できると言うんだよね。なるほどねーって印象的でしたね。ストレートに「すごく気持ちいいです!」という話よりも、腑に落ちる話として心に残った。本編もスッピンで出てきたりする。
彼女もこの作品をインタビューで挙げてくれたりしているし、この撮影でひとつ吹っ切れたんじゃないかという気がしますね。単体女優がセックスに没頭するという部分でもよく撮れてるんじゃないかと思う」

● 第6位:『君のカラダを紹介します*かおり』(2007年)


「これは本当にスケベな女ってだけなんで、本当にオナニー用です。何もないです。シンプルです、はい」

● 第5位:『女子大生 杏珠』(2007年)


「杏珠は眼鏡をかけてS1デビューしたんだけど、企画だからずっと眼鏡を外せなかったんですよ。良い大学で良い育ちの子で出演本数、期間も短い。それまで設定モノのAVばかりの中で、これは実家の方へ行って、九州・長崎ロケ。面接の時から「この人は絶対に普段着で普段の喋り方で撮った方がいい」と思った。何だろう、お嫁さんにしたいタイプ…。いい子なんだよねー。
九州の人って、人間的にヌケがいいというかね。宮崎(レイコ)さんや神(ユキ)さんもそうだけど、「がんばりんしゃーい!」みたいな。母性的なのかもしれない。男性に対して自分のことより相手を大事にするのが感じられる。この子も華奢で今風のお姉さんなんだけど、人間の器のデカさを感じさせるよね。
あと、車を運転できるのも良かったですね。運転はポイント高いです。地方ロケで車で迎えに来てもらうとテンション上がります。長崎の綺麗な景色で、観光・セックス・セックス・バイバイってだけなんだけど、バイバイが久々に心残りだと思った撮影ですね。切ない感じ。
俺のAVがその子の代表作になればいいと思うんです。本人も基本的にバレが怖いから素は出したくないじゃん。それを上手く引き出して、20年後とかに「あの時の私はこうだったな」と分かるようにしたい。通常AVは闇に葬り去ると思うし、扉は開かないかもしれない。お節介だけど「君、こんなんだったよ」とね。そういう形としても『杏珠』、ベストですよね」

● 第4位:『私を女優にして下さいAGAIN13』(2013年)


「2013年のクリスマス、名古屋・大阪・福岡へ行くやつです。豊田道倫さんという好きなミュージシャンがいて、『ロックンロールファッカーズ』(2002年)という彼のツアーを追いかけた俺のAVの焼き直しでハマジム版。2013年の年末、豊田さんが俺の地元の名古屋と大阪へ行く冬のツアーに同行した。たまたまクリスマス時期で、最後は一人で福岡のテレクラにチャレンジする話です。
AV監督である俺の特徴として、テレキャノとはまた違う部分、『女子大生杏珠』とは違う部分。セルフドキュメンタリーですね。それは基本的に『私を女優に〜』でやろうと思ってる。
たまたまこの時期、奥さんと人生の中で一番激しく喧嘩してて、お袋ともいろいろあったのを含めた雑記。家にも実家にも帰りたくない。そういう苦さも入れた日常と周囲を含めた日記。そこにセックスと、信頼する豊田さんのツアーが入る。豊田さんに対して俺も何かを投影してる。それもこの作品を通じて分かってもらえると思う。音楽とセックスと飯、自分の好きなものや嫌いなもの、得意なものを全部ごちゃまぜにした。AVのスタイルとしては異質だし系統も違うから、どう見られるかは分かんない。でもカンパニー松尾というAV監督として、やりたいことをやってるなという感じがしますね」

● 第3位:『世界弾丸ハメドラー ピリオド、そして春 かすみ果穂』(2016年)


「ほぼ引退作です。11年AV女優をやった人が、なぜ引退するのかという話。ベトナムも良かったです。かすみさんは当時30か31歳くらいなんだけど、大人になって、シャープで綺麗になった。AV女優だけどAV女優っぽくないかすみ果穂の魅力にやられてしまったのもちゃんと入ってると思う。
豊田さんの挿入歌が突然入るのが、作り手としてはビックリポイント、グッとくるポイントです。ああいうやり方とか編集で、それまではポップな感じしかないのが、そこでグッとくるようには作ってみたつもり。
ハメドラーシリーズは旅の情感があるんだけど、これが一番出てる。異国の夜の街をかすみさんが歩いてるだけのシーンもいっぱい入ってて、彼女自身もAVを引退して異国を歩いていくってことだと思う。重ね合わせて作ってみたら、いいものができたんじゃないかな。単体女優のかすみ果穂が良いか悪いかだけで判断されちゃうかもしれないけど。
タイトルはキム・ギドクの『春夏秋冬、そして春』からです。人生を表すようなタイトルで、リリースが春だったことと、AVを辞める彼女の人生が次の新しい季節へ続いていくことを込めた。ピリオドを打って、そして次へ。切ないですね。偉大な人を失くしてしまいました…」

● 第2位:『ヨーロッパ不倫特急/私の忘れ物』(2007年)


「ヨーロッパでカメラを回した作品。唯愛さんは、俺の想像を平気で超えてくるワールドクラスの人なんですよね。頭も良いし、社会人として大人の成熟した女性。立ち居振る舞いも含めてすごい。「なんでAVに出るの?」という話をするんだけど、それが面白いっすよ。その答えはあったりなかったりする。感情的に、直感的に生きてる人なんだよね。
なぜフィンランドかというと、結婚してから福祉関係の職を極めるために留学して勉強した経験があって、ホームステイ先に私物を忘れてきたって話を面接で聞いたんです。「取りに行くの、俺もついていっていいですか?」というのが最初のコンセプト。その旅の中でフィンランドのことをいろいろ教わった。
フィンランドは福祉が充実してて、社会全体でワークシェアしてる国。個人の目標は仕事じゃないんです。郊外の湖近くにサウナ付きのログハウスを作って家族を大切にする。子どもや老人の世話も地域で支え合い、非常に進んだ民主主義で共同体。厳しい自然の中で少ない資源を生かした共存共栄を目指す国。そういうことを学び、日本にフィードバックする仕事に就いていて高いポジションにいる人が、なぜそもそもAVに出るのか、という話です。
北欧の自然の美しさと、彼女の美しさをきっちり残せたなと思う。エバーグリーンです。基軸は、俺より綺麗なものだよね。みんな俺より綺麗だけど、格段に綺麗なものじゃないですか?」

● 第1位:『世界弾丸ハメドラー TANGO 地球の裏側で愛を踊る 真奈美』(2012年)


「社会的地位や収入がある女性が、なぜ自分探しの旅に出ちゃうのか。さっきの話の一番がこれですよね。持ってる人ゆえに悩みがあるんだよね。持ってないこちら側からすれば、なんで? と思うけど、本人には必然性があるんだと思う。外資系に勤める年収一千万以上の人が自分探しのためにAVを選択する。
真奈美さんはヨガやタンゴ、流行りのOLみたいなことをやってるんだけど、ヨガは自分を律する冷静、タンゴは情熱なのね。社交ダンスよりタンゴの方が自由でルールがないんだって。南米のヨーロッパといわれるブエノスアイレスはヨーロッパの移民が作った街で、船旅に出る人を踊って送り出すというのがタンゴの起源らしいです。
なぜ彼女がタンゴに惹かれるのか、AVに出るのか。一個人の人生みたいな話なんだけど、それを見る、聞く。みんなイチローのインタビューとかは聞くじゃん。俺にとってはイチローの話を聞くように作ってるつもり。いちAV女優だけどね。その生き方や考え方を「こういう世界もあるんだな」と知れればいい。AVというフォーマットを利用しながら、こんな人がいてこんな考え方で、こんな生き方をしてると。10年たてば彼女たちも変わる。今の真奈美さんも違うと思う。ただこの瞬間を記録したいなって感じですね。
ウォン・カーウァイの真似をしまくるシリーズの最頂点でもあります。『チャイナ』というワケの分からないドラマとかのシリーズがあって、これはドキュメンタリーでロケ地巡り。ただのファンですね。
地球の裏側の季節が逆転した国で、時空を超えたような感覚も面白かった。ここは戻った季節なのか、先に進んだ季節なのかを考えたりして、不思議な感じ。現実感が薄れた感じもありました。
まあ、上位3つは旅モノですね。ロードムービーです!」

★ベスト10 おさらい
 世界弾丸ハメドラー TANGO 地球の裏側で愛を踊る 真奈美
ヨーロッパ不倫特急/私の忘れ物
世界弾丸ハメドラー ピリオド、そして春 かすみ果穂
私を女優にして下さいAGAIN13
女子大生 杏珠
Α君のカラダを紹介します*かおり
А恥ずかしいカラダ NO.1 EROS 水城奈緒
中出しスレンダラス ジュンナ
恥ずかしいカラダ DOCUMENT ましろ杏
テレクラキャノンボール2013

★次点 (見てねー!)
オークション01
オークション02
UNDERCOVER JAPAN
みじゅ in 南青山
東京援助交際02 アイ
ちひろ in 沖縄
MAYURA ジョッキー
                              (取材・編集:山口雅)
カンパニー松尾プロフィール

AV監督。1965年愛知県生まれ。

1987年、童貞でAVメーカーV&Rプランニングに入社。
翌88年、監督デビュー。特技はハメ撮り。趣味はカレーとバイク。
1996年、V&Rを退社しフリーとなり、2003年、自身のメーカーHMJM(ハマジム)を立ち上げる。
代表作として『私を女優にして下さい』、『テレクラキャノンボール』など。
2014年2月『劇場版 テレクラキャノンボール2013』が公開され大ヒット。
さらにアイドルグループBiSの解散ライブを追った『劇場版 BiSキャノンボール2014』が2015年2月に公開されヒットし、ちょっと調子に乗っている感あり。

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