「True Love」レビュー
2016-07-20
コラムニスト:松本亀吉
ハマジムのオンラインショップの、この作品の「出演」にはクレジットがないが、この作品の主演は山南景介だと思う。「山南景介劇場」と呼んでよいだろう。異様に柔和で人懐こい印象の彼を一目でタダモノではないと感じてウェブ検索したら、同じ趣旨の他社のAVタイトルがヒットした。AV二本に出演するために大阪からやってきた40才の景介の本名は恋人のヘソ下にタトゥーで刻まれている。

景介と、8才下の小柄でキュートな恋人・榎本南那の「11年間続けている」と言う濃密なセックスが前半を占める。複数のバイブを使われ、雷鳴のような絶叫、獣のような咆哮を繰り返して何度も絶頂に至る南那の姿には「こんなに元気にイク女めったにいないだろう」と感じ、「イキまくる女性を観たい」という視聴者のニーズにフィットする。長時間に及ぶ丁寧なフェラチオを撮りながら梁井監督が少し呆れたように煙草を喫い始めるシーンは滑稽でさえある。

サブでカメラを回していた岩淵弘樹が「新婚なのにセックスレスで」と打ち明け、こだわりセックスの権化・景介に「女性にご奉仕するのは男の仕事やで。子供を産んでくれるんやから」と説教された挙句に「ヘタレやな」と笑われるシーンも面白い。色白でぽっちゃりしていて、遠目に見ると中年女性のようにも見える景介だが、大阪ではこういう男がモテることを私は知っている。学生時代にバイトしていた吹田市のうどん屋の店長にそっくりだ。その店長がホール担当のいちばん可愛い女子大生と不倫していたことも私は知っている。

後半に登場する横山夏希と景介とのセックス、さらに南那を交えた3Pも、それぞれ見応えがある。景介に攻められた夏希の激しい痙攣は他の作品ではあまり見られないシーンではないだろうか。3Pで垣間見える、少し意地悪な演出や嫉妬も、この作品のリアリティを高めている。

最後は夏希と、そのセフレで「ただのスワッパー」を自称する男性・ミッチーのセックス。「新規派/おかわり派」なんて言葉が軽く出てくるライトな関係が、前半に見せつけられた景介&南那のセックスにコントラストをつける。

饒舌な南那が最後に言い放った「ほんまに本当の愛」は、夏希やミッチーには伝わらないかも知れない。しかし、私には登場人物が全員「自分のセックスにプライドを持っていること」が伝わった。そして、誰もがそれに自覚的で、自分の言葉で語っているのが爽快だ。きわめて聡明で、インテリジェントなAVだと思う。


『True Love』はコチラ

松本亀吉プロフィール

1967年、大阪府豊中市生まれ。愛知県東海市在住。会社員。

2011年まで副業ライターとして「クイック・ジャパン」「スタジオ・ボイス」「週刊宝石」「マンスリーよしもと」「サイゾー」などの雑誌に寄稿。
著書に『歌姫2001』(太田出版/2000年)がある。

168cm、50kg、うお座、B型、左利き。

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